発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016309863
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は46歳男性で、腹痛を繰り返し、静脈硬化性大腸炎の診断で経過観察となった。約1年にわたって外来通院中であったが、夕食後に腹痛増強のため救急外来受診となった。腹痛による腹膜刺激症状と腹水および代謝性アシドーシスを伴うイレウスのため、複雑性イレウスから汎発性腹膜炎を併発した可能性を疑い緊急手術となった。開腹所見では、血流障害による色調変化が盲腸からS状結腸遠位部にまで連続してみられた。うっ血による壊死性変化をきたしていた回腸末端部よりS状結腸遠位部にいたるまでの結腸亜全摘を行った。切断した回腸末端部とS状結腸遠位部を端々吻合し、再建を行った。術後は敗血症および手術部位感染を併発し管理に難渋したが、次第に全身状態が改善し、術後62日目に退院した。現在、外来にて腸管壁の静脈内に血栓形成の予防を目的としてアスピリンを投与し通院加療中であるが、残存した結腸に静脈硬化性大腸炎の再燃はみられていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2016