発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009331707
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77歳男。下腹部痛を主訴とした。CT所見で盲腸の下方やや内側に腫大した虫垂と思われる管腔構造を認め、周囲脂肪組織の混濁、盲腸壁の肥厚も認めた。急性虫垂炎と診断し緊急開腹手術を施行し、肥厚した虫垂間膜と虫垂を認めた。虫垂は全体に発赤・腫大し、特に根部付近の腫大が著明であった。また、虫垂表面に膿苔が付着していたが、明らかな穿孔はなかった。盲腸の浮腫状変化を認めたが、腫瘍は認めなかった。以上より壊疽性虫垂炎と診断し、虫垂切除術を施行した。切除標本の肉眼所見で虫垂は発赤・腫大が著明で、根部にかけて充実性の粘膜肥厚を示し、同部位の管腔は完全閉塞していた。病理組織所見では虫垂根部の上皮細胞に乳頭管状増殖がみられ、同部位は中等度異型性な円柱状の腫瘍細胞が増殖しており、虫垂管状腺腫と診断された。
©Nankodo Co., Ltd., 2009