発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015339732
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60歳代女。腹痛を主訴とした。約50年前に虫垂切除術の手術歴があり、抗生物質投与で症状が軽快しないため、紹介入院した。右下腹部に限局したBlumberg徴候を伴う圧痛と炎症所見高値を呈していた。腹部超音波検査及び腹部CTで回盲部近傍に遺残虫垂と思われる造影効果を伴った腸管の腫大を認めたため、遺残虫垂炎の診断で切除術を行った。術中肉眼所見では明らかな腫瘍性病変を指摘できなかったが、固定後の先端部に隆起性病変を確認し、病理組織学的所見では壊疽性変化を伴う虫垂粘膜に存在する腺腫内のごく一部に高分化型腺癌を認め、腺腫内癌と診断した。脈管侵襲および切除断端ともに陰性であったが、術中回盲部周囲の所見などを考慮し、穿孔を伴った再発高リスク例と判断して術後補助化学療法を追加した。術後1年経過時点で再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2015