発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016309865
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症例は74歳男性で、右鼠径ヘルニアに対し、腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP)を施行した。全身倦怠感、右腰背部の鈍痛を認めた。右下腹部に圧痛を認め、腹部骨盤造影CTで虫垂から鼠径部に連続する膿瘍を認めた。腹部CT所見では、右鼠径部から膀胱右側にかけて腫大した虫垂から連続する辺縁が強く増強される2.5×8cm大の膿瘍腔を認めた。急性虫垂炎の鼠径部への穿孔に伴うメッシュ感染・膿瘍の診断で手術を施行した。病理組織学的所見により一部壊死組織を伴った急性虫垂炎と診断した。経過は良好で、9日目に退院した。術後2ヵ月外来で経過観察し、炎症所見の再燃や、腹部骨盤CTで膿瘍やヘルニアの再発などは認めなかった。鼠径ヘルニアの再発予防や腹膜欠損部の閉鎖を目的に手術の方針となった。経過は良好で第2病日に退院した。術後6ヵ月を経過した現在、再発の徴候は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2016