発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014367335
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13歳女児。腹痛・発熱を生じ、虫垂炎疑いで保存的に加療されるも症状を繰り返し、虫垂切除を予定していたところ、再び腹痛が出現した。造影CTで右下腹部の回腸の限局性の内容貯留を認めるのみで、明らかな虫垂の腫大はなく、腹水も認めなかった。腹痛の原因は腸炎と診断したが、腹痛はすぐに軽快し、当初から予定していた腹腔鏡下虫垂切除術を施行した。病理組織学的に虫垂先端部分から約2cmの壁内に径1cmの結節性病変を認め、索状構造ないし胞巣状構造を呈する腫瘍細胞の浸潤性増殖を認めた。腺管構造は明瞭ではなく、核分裂像は目立たなかった。免疫染色ではCAM5.2(+)、クロモグラニンA(+)、シナプトフィジン(-)、Mib-1 indexが1%以下であった。以上より、carcinoid tumor、mp、v0、ly0、切除断端陰性と診断された。リンパ管侵襲を認めことから、リンパ節転移の可能性を考慮し、翌月に腹腔鏡補助下回盲部切除術およびD2リンパ節郭清術を追加施行した。しかし、病理組織検査で残存病変やリンパ節転移は認めず、結果的には追加切除の必要性はなかったと考えられた。術後4年後の現在、再発は認めていない。
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