発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016291570
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21歳男。当科受診の前日昼ごろから腹痛・下痢が出現し、翌日未明に近医受診した。腹部に筋性防御がみられ、腹部エコーで十二指腸壁の肥厚を認められ、十二指腸潰瘍穿孔の疑いで当科に紹介された。腹部造影CTで盲腸から上行結腸にかけて同心円状の構造物を認め、腸重積症と診断した。CT所見からは腸管壊死の可能性を否定できず、腹腔鏡下整復術を予定した。鏡視下に回盲部を観察すると、上行結腸に回腸が嵌入しており、上行結腸を鉗子で圧迫しながら回腸を押しつつ愛護的に回腸を引き出すと重積が解除された。盲腸は後腹膜に固定されていない移動盲腸で、回腸末端の間膜や虫垂間膜のリンパ節が腫大していた。若年であることから悪性リンパ腫などの鑑別を考慮し、虫垂を間膜リンパ節とともに切除して手術を終了した。切除標本の病理組織検査で虫垂と間膜に急性炎症や腫瘍性病変などの所見は認めなかった。術後経過は良好で、3年後の現在まで再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2016