発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016291571
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40歳代。38.5℃の発熱と右下腹部痛を主訴に受診した。腹部造影CTで盲腸に21×17mm大の限局性隆起性病変を認めた。MRI検査で盲腸部の病変はT1強調脂肪抑制像で低信号を示した。下部消化管内視鏡検査で盲腸部に約2cm大の粘膜下腫瘍様隆起を認め、同部の生検を行ったが、group 1で正常粘膜という結果であった。これらより、腹痛の原因は盲腸に発生した粘膜下腫瘍で、腫瘍はGISTや平滑筋腫、リンパ腫、神経鞘腫、腸管子宮内膜症などが鑑別疾患として挙げられたが、確定診断には至らなかった。病歴を詳細に聴取したところ、今回だけでなく2年ほど前から右下腹部の疼痛を1~2ヵ月ごとに認めていたことが判明したため、腸管子宮内膜症を強く疑い、診断と治療を兼ねた手術を腹腔鏡下に行った。腹腔内を観察すると、盲腸部に腫瘍の漿膜面への露出や変形などは認めなかった。悪性腫瘍の可能性も考慮してD2リンパ節郭清を含む回盲部切除術を施行し、切除標本の病理組織所見からendometriosis externaと診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2016