発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008148998
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69歳女。全身倦怠感を主訴に前医を受診し、頸部悪性リンパ腫が疑われたものの生検にて悪性所見を認めず、経過観察中に食欲不振が出現した。精査加療目的にて当院紹介となった。FDG-PETにて頸部に集積する病変を3ヶ所認め、頸部リンパ節生検の結果、reactive lymphoreticular hyperplasiaと診断された。腹部造影CTでは骨盤内に2ヶ所multiple concentric ring signを呈する腸重積を認め、腹部MRIでは冠状断で骨盤内に腫瘤と小腸の拡張を、矢状断で球形腫瘤を先進部とするカニの爪様の腸重積所見を認めた。小腸造影では小腸腔内を占居する隆起性病変を認め、その口側腸管は著明な拡張を呈していた。多発腸重積を呈した小腸悪性リンパ腫の疑いで、イレウス管挿入後腹腔鏡補助下手術を施行、術中所見にて腸間膜広範囲にリンパ節腫脹を認め、腹水細胞診ではgroup Vであった。悪性リンパ腫の診断で、回盲部から210cmと240cmの2ヶ所の腸重積とTreitz靱帯から15cmの小腫瘍の計3ヶ所に小腸部分切除を行った。病理組織像上starry sky appearanceを認めた。現在、R-CHOP療法を施行中である。
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