発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015167441
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35歳男性。間欠的な臍周囲部痛が生じ寛解と増悪を繰り返していたが、更に腹部膨満感を伴って来たため受診となった。胸腹部単純X線像では明らかなfree airや小腸ガスはみられなかったが、腹部CTにて下腹部正中腹側の小腸内に脂肪濃度を呈する5×2cm大の不整型のソーセージ様の腫瘤が認められた。また、小腸造影では回腸に造影剤の流出がみられない表面平滑な全周性の隆起性病変があり、その口側小腸はやや拡張していた。一方、大腸内視鏡では回盲弁より30cm口側までに明らかな病変はみられなかった。以上、これらの所見より、本症例は脂肪腫などの小腸腫瘍が疑われ、外科的治療の方針となったが、病変の存在部位や質的診断が不明確であることから腹腔鏡下手術の施行となった。術中所見では回腸末端部から120cmの部位に回腸~回腸型の腸重積が認められ、鏡視下整復が困難のため小切開下に腹腔外で病変部を含めて小腸部分切開術を施行、機能的端々吻合で腸管吻合した。その結果、摘出標本は腸間膜対側に52×35mm大の内翻した憩室あるののも、病理組織学的所見では憩室粘膜の潰瘍にも悪性所見や異所性組織の迷入はみられず、漿膜側の脂肪組織にも悪性所見は認められなかった。尚、術後経過は良好で患者は合併症もなく第7病日目に退院となった。
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