特集 血管炎・血行障害
Henoch-Schoenlein紫斑病に腸重積を合併した成人の1例
三浦 慎平
1
,
眞壁 健二
,
阿部 薫
,
櫻井 英一
,
遠藤 幸紀
,
赤坂 俊英
1秋田県厚生農業協同組合連合会かづの厚生病院 皮膚科
キーワード:
Prednisolone
,
胸部疾患
,
紫斑病-Schoenlein-Henoch
,
多剤併用療法
,
腸重積症
,
膿皮症
,
腹腔鏡法
,
Cefozopran
,
静脈内注入
,
腹部CT
Keyword:
Drug Therapy, Combination
,
Intussusception
,
Infusions, Intravenous
,
Laparoscopy
,
Prednisolone
,
Purpura, Schoenlein-Henoch
,
Pyoderma
,
Thoracic Diseases
,
Cefozopran
pp.501-505
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016280945
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は22歳男性で、15歳頃から前胸部に毛包炎を繰り返し、前胸部慢性膿皮症と診断され、ミノサイクリン塩酸塩内服、ナジフロキサシン外用を開始し、軽快、増悪を繰り返した。1週間前から前胸部の慢性膿皮症に熱感を伴う発赤が出現し、3日前から四肢、前胸部の紫斑に気づき腹痛も伴い受診した。前胸部膿皮症周囲、四肢に米粒大~大豆大の浸潤を触れる紫斑が散在し、一部に小膿疱も認め、腹部触診で腹壁全体が硬く、圧痛が高度で筋性防御を認めた。第XIII因子28%、尿蛋白1+、尿潜血-、細菌培養でStaphylococcus epidermidisが検出された。腹部造影CTで小腸は小範囲で拡張し、回腸末端部近傍で偽腎徴候を認め腸重積と診断された。病理組織所見は左上腕紫斑部は真皮浅層に好中球主体の細胞浸潤がみられ、多数の核塵を伴い、血管壁肥厚と赤血球の血管外漏出、フィブリノイド変性を認めた。蛍光抗体直接法で血管壁にIgA、C3沈着がみられた。皮膚症状で隆起性の紫斑、急性腹部疼痛、生検で小動脈壁の顆粒球の存在、20歳以下の四つのうち二つが当てはまり、第XIII因子低下も認め、臨床所見を含め、Henoch-Schoenlein紫斑病(HSP)と診断し、全身麻酔下に緊急手術し、整復術を施行した。術後は抗菌薬、ステロイド全身投与を行い症状は改善した。成人のHSPに腸重積を合併する例は稀で、自験例では慢性膿皮症の存在が発症に関与したと思われた。
Copyright © 2016, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.