発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016291567
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71歳男。タール便を主訴に受診し、精査加療目的で入院となった。腹部造影CTで十二指腸下行脚・水平脚を主座とする巨大な腫瘍(12×12×8cm)を認めた。上部消化管内視鏡検査で上十二指腸角から下行脚の膵臓側に約2/3周性で表面に白苔を伴う易出血性の隆起性病変を認め、生検で腺癌と診断された。また、胃体中部後壁小彎側に直径3cm大のIIa病変を認め、生検で高分化腺癌と診断された。治療は標準的な膵頭十二指腸切除術によって胃癌を同時切除し、さらにリンパ節郭清を行った。リンパ節郭清は、膵頭部癌に準じたD2リンパ節郭清と、胃癌が存在するため1・3・4d・4sb・5・7・9番リンパ節郭清を追加した。摘出標本の病理組織所見から十二指腸の腫瘍は粘液癌、胃の腫瘍は高分化管状腺癌と診断した。術後経過は良好で、10ヵ月後の現在まで再発徴候は認めていない。
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