発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015390508
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62歳男。嘔気、嘔吐を主訴に、腹部単純CTにて胃から十二指腸にかけての拡張、十二指腸水平部の壁肥厚、右水腎症を認め、精査加療目的に当科入院となった。入院時、上部消化管造影・内視鏡、胸腹部造影CT、下部消化管内視鏡所見より、右尿管浸潤を伴う十二指腸癌およびS状結腸粘膜下腫瘍と診断し、手術を行った。開腹所見では十二指腸癌は右腎・右尿管に加え空腸にも浸潤し、S状結腸腫瘍は肉眼的に粘膜下腫瘍が疑われ、幽門輪温存膵十二指腸切除(Child変法再建)、右腎・右尿管合併切除、小腸部分切除、S状結腸部分切除術を施行した。病理組織学的に右腎・右尿管・空腸に浸潤し、右尿管内腫瘍塞栓を伴った原発性十二指腸癌と診断された。術後9ヵ月に腹膜播種再発を認め、人工肛門造設術後に放射線照射、S-1内服を開始した。十二指腸癌切除術後4年4ヵ月経過した現在、担癌生存中である。
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