発行日 2010年4月1日
Published Date 2010/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010160815
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85歳女。腹部不快感を主訴とし、胃内視鏡にて胃癌を指摘された。上部消化管内視鏡にてアズキ大の隆起病変を認め、生検にて高分化腺癌、早期胃癌と診断した。内視鏡的粘膜切除(EMR)を行い、その後、腹部CT所見、腹部血管造影にて中肝動脈末梢に腫瘍を認め、肝動脈化学塞栓療法(TACE)を行った。TACE後のCT、腹部超音波所見より、胆石症、胆嚢腫瘍を疑い、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った。胆嚢の病理検査にて3個の隆起性病変を認め、底部、体部病変は異型細胞が漿膜下層に浸潤し、間に正常粘膜を介しており、多発癌と診断した。リンパ節郭清を勧めたが同意を得られないため、9病日に退院し外来にて経過観察とした。初診より4年経過現在、腹部CTにてS4に1cm大Lipiodolの集積を認めるが、再発を認めず独歩にて通院中である。なお、多発性胆嚢癌を含む同時性三重複癌の報告は極めて稀で、超高齢者の長期生存例は少ない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010