発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014367332
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76歳女。骨粗鬆症でalfacalcidolを5年以上内服中であった。自覚症状はなかったが、近医でのCTで胃に石灰化を伴う腫瘤を指摘され、上部消化管内視鏡で胃前庭部に粘膜下腫瘍を認め当院紹介となった。内視鏡(前医検査から2ヵ月後)で胃前庭部に約1/2周の2型様の病変を認めたが、前医での所見とは異なり、潰瘍はなく、膨隆も軽度で、生検はGroup 1であった。CTでは胃前庭部後壁に粗大な石灰化を伴う3×1.5cm大の腫瘤を認めた。以上より、石灰化を伴う胃粘膜下腫瘍と診断し、幽門側胃切除術を施行した。切除標本では正常粘膜に覆われた可動性のある硬い粘膜下腫瘍と考えられ、病理組織学的所見で胃体部前壁および幽門部に隣接する2つの病巣を認め、前者はLM、Ant、15×15mm、Type 0-IIa、tub2、pT1a、ly0、v0で、後者はL、Post、30×30mm、Type 5、mucinous adenocarcinoma、pT1b、med、INFa、ly0、v0であった。両者に連続性はなく、同時多発胃癌と診断した。なお、後者の病巣は顕著な石灰化を伴っていた。術後経過は良好であった。
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