発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015149837
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40歳女。腹痛を主訴とした。左上腹部に可動性良好で軽度圧痛を伴う半球状腫瘤を触知し、腹部超音波では圧痛点に一致して40×35mm大の低エコー腫瘤を認めた。腹部単純造影CTでは左上腹部に周囲脂肪濃度上昇を伴う類円形腫瘤を認め、腫瘍は造影効果を伴う被膜構造を有したが、内部は造影されず、膀胱内容よりやや高い均一な低吸収域として描出された。何らかの要因で形成された腹腔内膿瘍と考え、抗生剤加療の方針としたが、確定診断が得られなかったため後日単純造影MRI検査を行った。その結果、充実性腫瘍の可能性が示唆され、診断治療目的で審査腹腔鏡を行うこととした。腹腔内を観察したところ、Treiz靱帯から90cmの空腸間膜に球状腫瘍を認め、小腸間膜腫瘍と考え小開腹下に腫瘍・小腸合併切除を行った。病理診断は広範な壊死を伴うdiffuse large B-cell lymphomaで、全身検索の必要性および追加治療の可能性を説明したものの同意が得られず、経過観察とした。術後12ヵ月経過の現在、全身状態に著変はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2015