発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016291573
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83歳男。左上腹部腫瘤を主訴に受診した。腹部造影CTで左上腹部に長径15cm大で内部にlow density areaを伴う辺縁不整な腫瘤性病変を認めた。腫瘤は小腸に接し、腫瘤の右縁は上腸間膜動脈の近傍に及んでいた。MRI検査でも同様の所見が認められた。Gaシンチグラムでは腫瘤に一致してGaの著明な集積が認められ、他の部位に集積は認めなかった。これらの所見から腸間膜原発の悪性リンパ腫を疑い、腹腔鏡補助下に手術を行った。手術所見は、左上腹部のTreiz靱帯付近で空腸の腸間膜に腫瘍を認め、一部空腸への浸潤を認めた。小開腹下に上腸間膜動静脈を確実に温存して、Treiz靱帯から約20cmの空腸を口側として約55cmの空腸を空腸間膜とともに切除し、空腸を端々吻合した。切除標本の病理組織所見からdiffuse large B-cell lymphomaと診断した。術後経過は良好であったが、化学療法の同意が得られず、無治療で経過観察していたところ術後7ヵ月時に再発を認め、CHOP療法を行ったが寛解には至らず、術後20ヵ月時に死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2016