発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017275450
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72歳男。腹痛を主訴とした。救急外来を受診し、CTにて腹腔内腫瘤を指摘された。腎細胞癌にて左腎部分切除の既往があり、腎部分切除後6年経過していた。血液検査にてCA19-9高値であった。腹部造影CT所見にて、腎部分切除2年後より造影効果のある16mm大の小腸間膜腫瘤が存在し、術後6年後には30mm大の小腸間膜腫瘤を認めた。以上より腎細胞癌の再発及びデスモイド腫瘍を考え、手術を施行した。術中、小腸間膜内に腫瘤を認め、小腸に10mm程度の腫瘤を触知した。小腸30cmと小腸間膜腫瘤を合併切除した。腸間膜病変は最大径35mmの充実性白色調腫瘤で、近傍の小腸には15mm大の粘膜下腫瘍様腫瘤を認めた。免疫組織化学染色では、synaptophysinおよびchromogranin Aが陽性であった。以上より、小腸間膜リンパ節転移を伴う小腸カルチノイドと診断した。術後は腸閉塞を発症したが、保存的に軽快し、術後13日目に退院した。術後測定した部分尿5-HIAAはわずかに高い値であった。現在、無再発通院中であった。
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