発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015263640
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症例1(64歳男性)。胆嚢ポリープにて経過観察されていたが、今回、定期超音波検査で腹腔内腫瘤を指摘され、精査加療目的で入院になった。所見では腹腔内には移動性のある4.5×3.2cm大のやや不整形の不均一な充実性腫瘤があり、小腸と連続していた。また、腹部CTでも腹腔内には4cm大の小腸と連続する腫瘤がみられ、境界明瞭であったが、内部等濃度で造影後の増強効果はみられなかった。以上より、本症例は壁外性に発育するgastrointestinal stromal tumor(GIST)が疑われ、手術の施行となった。その結果、腫瘤は回腸末端から100cm口側に存在しており、小腸の部分切除にて腫瘤を摘出、切除標本の病理所見から腸間膜原発のデスモイド腫瘍と診断された。尚、患者は術後第10病日目に退院、術後10ヵ月経過現在、再発徴候は認められていない。症例2(49歳男性)。数日前から続く間歇的腹痛および下痢を主訴に受診となった。精査加療目的で入院後、腹部CTを行なったところ、回腸末端近傍に5cm大の造影効果を伴う腫瘤性病変と、その口側の小腸に拡張とびまん性肥厚が認められた。一方、注腸造影では回腸末端近傍の内腔は狭窄と口側腸管の拡張が認められた。以上、これらの所見を踏まえ、本症例は悪性リンパ腫やGISTが疑われ、鑑別診断をもとに手術が施行された。その結果、結腸右半切除+十二指腸部分切除により腫瘤を摘出し、病理組織診断により腸間膜原発のデスモイド腫瘍と診断された。以後、経過良好で患者は第17病日目に退院、術後1年経過現在、再発徴候は認められていない。
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