発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013191399
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77歳男。腹部腫瘤を主訴とした。造影CTで下腹部に造影効果を有する内部が充実性の腫瘤と、上腹部に被包化され内部が脂肪成分の腫瘤を認めた。MRIで下腹部の腫瘤はT1強調像で低信号、T2強調像で高信号を示した。腸間膜脂肪肉腫の成分を含んだ腸間膜脂肪腫と診断し、開腹手術を施行した。下腹部の腫瘤は小腸間膜内に、上腹部の腫瘤は小腸間膜に接する状態で存在しており、各々切除して手術を終了した。切除標本肉眼所見で下腹部の腫瘤は6×6×4cm、割面が灰白色調であった。上腹部の腫瘤は8×7×5cmで、割面が黄色調であった。病理組織検査で下腹部の腫瘤は粘液腫状基質の中に、小型紡錘形ないし類円形の腫瘍細胞の増殖がみられた。核分裂像が散見され、細胞密度は中等度であった。以上より、混合型脂肪肉腫と診断した。上腹部の腫瘤とその他の腫瘤は成熟脂肪組織から成っており、脂肪腫の診断であった。経過は良好で、術後10日に軽快退院した。
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