発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015062457
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42歳男性。下腹部痛を主訴に近医を受診、抗生剤を処方されるも症状の増悪と反跳痛を認めるようになり、発症から7ヵ月目に著者らの施設へ紹介となった。所見では腹部造影CTでS状結腸には高吸収域の線状陰影があるほか、壁を貫通しており、周囲には脂肪織の濃度上昇が認められた。だが、腫瘍やfree airは認められず、発症前の魚摂取歴と兼ね合わせ、本症例は魚骨によるS状結腸穿痛ならびに限局性腹膜炎と診断された。以後、腹腔鏡下に手術が行われたが、術中所見ではS状結腸の一部が左下腹部の腹壁と癒着しており、これを剥離すると白色膿汁が少量認められ、S状結腸壁からは突出した魚骨が確認された。そこで、S状結腸から魚骨を抜去し摘出したところ、魚骨は約2.5cmで、魚骨が突出していた部位に1mm大の穿孔部を認めたため腹腔鏡下に縫合閉鎖した。更に腹腔内の洗浄後、骨盤内にドレーンを留置して手術を終了(手術時間1時間35分、出血少量)した。その結果、術後は合併症なく経過し、患者は術後2日目より経口摂取を再開して、術後6日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2014