発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014343882
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68歳男。夜間寝汗がみられ、徐々に心窩部痛も出現し、排尿が少なくなった。採血にて腎不全と肝不全徴候が認められた。腹部単純CT所見にて、肝左葉外側区全体を占拠する低濃度域を認め、また尾側に高濃度線状影があり、魚骨などの異物と考えられた。病歴を聴取した結果、3週間前にアジを摂取したことが判明した。その後、敗血症性ショックとなり、異物が原因であることが明らかであったため、緊急開腹ドレナージの方針となった。胃体上部小彎が肝左葉に広範に癒着しており、大量の排膿が認められた。肝左葉には最深部で7cmの空洞形成をしており、内部を指で確認したところ、魚骨が肝内水平方向に刺さり込んでいたため除去した。魚骨は3cmであり、細いが非常に鋭利であった。その後、肝膿瘍腔内にNelatonカテーテルを挿入し肝膿瘍腔内にドレーンを2本留置した。術後、肝不全、腎不全の改善は乏しく、サイトメガロウイルス腸炎による下血も合併し、全身状態悪化から術後40日に死亡した。
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