発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015263641
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76歳女性。腹痛が持続するため前医を受診、急性腹症の診断にて、著者らの施設へ紹介となった。前医の腹部単純造影CTでは正中~左下腹部小腸は浮腫状であり、約3cmの線状高吸収域の構造物が同部位を貫いていた。また、小腸間膜内には少量の遊離ガスがみられており、更に右横隔膜下と骨盤内には腹水が認められた。以上、これらの所見をもとに問診を行なったところ、患者は発症2日前にシマアジのあら汁を摂取していることがわかり、本症例は魚骨による小腸穿孔と診断された。以後、腹腔鏡手術が施行されたが、術中所見ではDouglas窩ならびに右横隔膜下に混濁した腹水が貯留しており、左下腹部には浮腫の強い小腸のほかに、腸間膜には白苔が付着していた。そして、同部の検索により腹膜炎の原因と考えられる穿孔部が確認され、その近傍の小腸からは魚骨と思われる針状のものが突き出ていた。そこで、鏡視下に魚骨を鉗子で除去し、穿孔部修復のため臍部の創を上下に延長して約5cmの中腹部正中切開し、穿孔した小腸を体表に挙上後、穿孔部2ヵ所をトリミングし縫合閉鎖した。尚、術後経過は良好で3日目より経口摂取を開始、術後11日目には退院となった。
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