発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013004087
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症例は55歳女性で、夕食時にタイの骨を飲み込み、同日胸痛が生じたが軽快していた。第16病日に発熱が出現し、上部消化管内視鏡で切歯より25cmの中部食道に粘膜下腫瘍様の粘膜隆起を、超音波内視鏡では食道第2層に線状の高エコー域が認められた。縦隔炎などの合併症はなく、内視鏡的に魚骨を摘出する方針としたが、第30病日の内視鏡で魚骨を発見できなかった。同日の胸部CTで魚骨は水平方向に移動し、右下肺静脈の尾背側で右下葉に迷入していた。下肺静脈近傍にあり、血管損傷の危険性も考え、胸腔鏡下摘出術を施行した。第8肋間中腋窩線、第6肋間前腋窩腺に2ポートをおき、第7肋間肩甲下角に4cmの小開胸を行った。腫大した右肺靱帯を切開したところ、右肺下葉内より押し出されるように魚骨が露出した。食道側には明らかな瘻孔は認めず、肺からの気漏もなかった。摘出標本は長さ22mmのタイの骨であった。術後経過良好で26ヵ月後も問題はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012