発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015167442
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
77歳女性。37歳時に虫垂炎、73歳時に癒着性腸閉塞の既往があった。今回、昼食にサケの塩焼きを摂取後、同日深夜から下腹部痛が出現、痛みが増悪したため翌日早朝に救急外来となった。所見では腹部CTで小腸内に魚骨と思われる高吸収域の線状陰影が確認され、魚骨小腸穿孔による腹膜炎が疑われた。緊急手術となり、腹腔鏡下で12mmカメラ用ポートを臍部に挿入して観察すると、回盲部周囲の小腸は癒着し一塊になっており、これは過去の虫垂手術の影響と考えられた。次いで5mmポートを3ヶ所に挿入し、腹腔鏡下操作で小腸の癒着を剥離すると、回盲部周辺の観察で腸管外に1cmほどの突き出た魚骨が確認された。穿孔箇所は回腸末端から約60cm口側の回腸で周囲小腸と強く癒着しており、穿孔部の肛門側は強く屈曲していた。そこで、臍部創を約5cm延長して小開腹操作に移り、肛門側屈曲ヶ所を含め回腸部分切除、かつ吻合した。その結果、切除標本では魚骨は腸管壁を貫通し、摘出した魚骨は長さ35mmのサケの骨であった。尚、術後経過は良好で創感染や遺残膿瘍の合併もなく、患者は術後第15病日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2015