発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015339733
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64歳男。右下腹部痛を主訴とした。発症4日に紹介され、受診時にはCRP軽度上昇とMcBurney徴候陽性、筋性防御を呈していた。腹部造影CTでは、壁肥厚を伴う腫大した虫垂と虫垂内腔に楔型の高吸収域を認めた。腹膜刺激症状を伴う急性虫垂炎の診断で緊急手術を行ったところ、虫垂内腔には糞石に包まれた約20mm長の魚骨を認め、炎症は盲腸や腹壁に及び、強固な癒着がみられ、病理検査でも線維化を伴う炎症細胞浸潤を認めたことから、慢性型の経過をとっていたと推測された。術後の問診で患者は普段から魚介類を好んで食していたことが聴取され、虫垂壁を穿通し虫垂内に長期間留まっていた魚骨が核となって糞石を形成し、これが内腔を閉塞することで通常の虫垂炎が惹起され、急性型様の臨床経過をとったと考えられた。
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