発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015022601
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72歳女。眼球黄染・白色便・心窩部痛を主訴とした。血液検査では著明な肝・胆道系酵素上昇と直接型優位のビリルビン上昇を認め、腫瘍マーカーはCEA 2.1ng/ml、CA19-9 87.6U/mlであった。腹部造影CTで膵頭部は全体に腫大し、境界不明瞭で造影効果の乏しい領域として認め、上腸間膜静脈・胃十二指腸動脈・上腸間膜動脈は腫瘍に巻き込まれていた。MR胆管膵管造影で総胆管は膵内で途絶し、肝内胆管・上部総胆管の拡張を認めた。経皮経肝的胆嚢ドレナージにて減黄後、診断確定と胆道バイパスを目的として開腹手術を施行したが、剥離・切除不能であり、術中迅速病理診断にて膵癌と確定診断した。術後8日目よりゲムシタビンによる化学療法を開始し、血小板減少のため6コースで終了したが、S-1による化学療法に変更して31コース施行し著効(CR)が得られた。その後化学療法を休止し14ヵ月経過しているが、初診から4年経過現在もCRを維持し全身状態良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2014