発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010313480
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52歳男性。患者は51歳時に急性膵炎で2回の入院の既往があった。今回、心窩部痛で受診となり、CTで膵体部に10mm大のlow density areaと近接して主膵管の軽度拡張が認められ、入院の上で保存的加療を行い軽快退院となったが、その後、改めて膵精査を行ったところ、MR胆道膵管造影(MRCP)で膵体部の主膵管に狭小化、尾側の主膵管の拡張がみられた。また、超音波内視鏡(EUS)では膵体部に低エコーで境界明瞭、均一な10mm大の腫瘤と尾側膵管の軽度拡張が認められ、更に内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)では膵体部10mm長の主膵管の欠損と尾側の拡張が確認された。以上の所見を踏まえ、あわせて膵管内超音波ガイド下生検にて本症例は微小膵腺房細胞癌(ACC)と診断され、再入院の上で膵体尾部切除術が行われた。その結果、病理所見では小型の核異型を伴う腫瘍細胞が充実性に腺房様構造を呈して増殖しており、後腹膜への微小浸潤がみられ、ACCのpT3、Stage IIIであった。尚、術後は経過良好で、患者は第14病日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010