発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009067971
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57歳女性。患者は既往の乳癌と甲状腺乳頭癌術後のフォローアップCTで十二指腸水平脚頭側に3cmの腫瘍陰影を認め入院となった。CTおよびMRIでは膵頭部付近に径3cmの内部低吸収域の境界明瞭な腫瘍が認められ、腫瘍は造影効果を有する8mm厚の嚢壁を有し、内部は均一な低吸収域で造影効果はなく、隆起性病変や隔壁は認めなかった。一方、超音波・MRCP・上部消化管内視鏡・小腸造影では有意な所見はなく、FDG-PETで腹部正中やや左寄りに塊状の高集積が認められ、腫瘍は画像検査のたびに腹部大動脈の左右に移動していた。以上より、開腹手術を行なったところ、膵鉤部には鶏卵大の腫瘍が認められ、膵鉤部が十二指腸や上腸間膜動静脈ごと大動脈の左右を移動したと判断された。そこで、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行った結果、病理所見では厚い嚢壁そのものが癌巣の中心で中分化型管状腺癌で、乳癌や甲状腺乳頭癌の転移性腫瘍でなく原発性膵癌であり、3重複癌であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008