発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012360653
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70歳男。上腹部痛、褐色尿、黄疸を主訴とした。腹部造影CTで、下部胆管癌や乳頭部癌を疑ったが、膵頭部腹側に17mmの低吸収域がみられ、造影効果は乏しく、嚢胞性病変やリンパ節転移を考えた。MR胆管膵管造影では、膵頭部主膵管閉塞部に淡い高信号領域を認め、膵癌を疑った。下部胆管癌を疑い、ブラッシング細胞診施行後、内視鏡的逆行性胆道ドレナージチューブを留置した。細胞診は陰性であった。PET-CTを施行したところ、総胆管内のチューブの腹側で2cm大の腫瘤の背側にFDGの集積を認めた。以上より膵癌と診断した。膵頭十二指腸切除術、D2、PDII、R0を施行した。病理組織学的所見で膵頭部にだるま型のゼラチン様にみえる腫瘍を認めた。線維性組織に囲まれた粘液結節を認め、壁には高分化型腺癌の像がみられ、稀な膵粘液癌と診断した。術後経過は良好で、術後約8ヵ月を経過する現在、再発徴候は認めなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012