発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014039722
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81歳男。咳嗽を主訴に近医を受診、胸部X線で左胸水を指摘され、著者らの施設へ紹介となった。所見では左中下肺野で呼吸音の消失がみられたものの、腹痛などはなく、腹部は平坦で軟であった。しかし、CTでは左側に大量の胸水貯留と圧排性無気肺が認められ、咳嗽の主訴より原発性肺癌が疑われた、腫瘍マーカー検査を行なったところ、CEAが高値であり、癌性胸膜炎が認められた。一方、胸腔穿刺後のX線では肺内に腫瘍影は認められなかったが、FDG-PETでは膵尾部に集積と左胸膜にそった集積が認められ、CTでも膵尾部に内部が低濃度域を呈する腫瘍影が確認された。以後、腫瘍マーカーの追検査により本症例はIV期の膵癌と診断され、化学療法が適応と判断してgemcitabine単剤療法、更にTS-1投与が施行された。その結果、副作用が生じたため中断となり、目下は緩和医療を中心に自宅療養となった。
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