発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014367336
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41歳女。嘔吐、間欠的腹痛を主訴とした。造影CTでDouglas窩に少量の腹水貯留、骨盤腔の小腸に限局した壁肥厚を認めた。採血結果が問題ないことや開腹既往がないこと、更に腹部症状が軽度であることから絶食点滴で経過観察とした。翌日の採血結果では炎症反応の上昇を認め、造影CTでは腹水の著増、右下腹部にcaliber changeとclosed loop obstructionを認め、同部位より右外側小腸に造影剤が貯留していた。何らかの索状物や内ヘルニアによる器質的狭窄を疑い、同日に緊急手術を行った。狭窄部位を確認したところ、大網が小腸間膜に癒着してできた索状物をヘルニア門とした小腸内ヘルニアを認めた。狭窄起点はBauhin弁から口側30cmの部位で、血流障害は狭窄起点から口側に約40cmに渡っていた。大網バンドを結紮切離して狭窄部位を解除すると、小腸の色調が徐々に改善したため、腸切除は行わず手術を終了した。術後4日に食事を開始し、同日に排便を認め、術後8日に軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2014