発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013367597
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57歳女。上腹部違和感、腹痛および嘔吐を主訴とした。X線で胃泡の拡張と鏡面像を伴う十二指腸ガス像を認め、腹部CTで胃・十二指腸の著明拡張、Treitz靱帯より肛門側空腸のbeak signを認め、上腸間膜動静脈背側を通り、右下腹部に袋状に集合し、浮腫状変化を呈していた。右傍十二指腸ヘルニアを疑い腹腔鏡手術を施行し、術中、Treitz靱帯から約7cmの空腸間膜に後腹膜と連続する索状物を認め、同部位をヘルニア門として広義の内ヘルニアを形成し、空腸が嵌頓していた。索状物を離断、ヘルニア門を開放し、嵌頓していた空腸に壊死のないことを確認した。腹腔内を再度検索したところ、上行結腸、盲腸および小腸全域が後腹膜に未固定の状態で、総腸間膜症と診断した。総腸間膜症に対しては後腹膜への固定は行わず手術を終了した。経過は良好で、術後4日に軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013