発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014226269
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12歳女児。腹痛を主訴に来院、精査により急性腸炎と診断され、小児科へ入院となった。血液検査では軽度の炎症反応を認め、絶飲食、補液、抗生剤の投与にて血液データは改善したが、入院2日目以降も腹痛と腹部膨満は増強した。腹部X線検査を行なったところ、鏡面像を伴う腸管ガス像の増加を認め、発症3日目に外科へ紹介となった。受診時、腹部超音波では小腸拡張を広範囲に認められたほか、腸管内容物の停滞や腸閉塞症の状態で腹水の存在も疑われた。小腸CTでは小腸の拡張と右下腹部に小腸間膜のwhirl徴候、小腸部のbeak signを疑う所見も確認された。以上より、本症例は腸閉塞症と診断され、全身麻酔下にて開腹手術が行われた。手術時所見ではBauhin弁から70cmの終末回腸にMeckel憩室が認められ、その先端の索状物が後腹膜と強固に癒着していた。更に終末回腸・Meckel憩室・索状物・後腹膜とで内ヘルニア門を形成、同部より口側の小腸が約1m嵌頓していた。以後、絞扼所見を呈する索状物を離断しヘルニア門を開放しMeckel憩室のみ部分切除した。その結果、切除標本の病理組織学的所見ではMeckel憩室は真正憩室であり、粘膜面に胃粘膜組織を認め明らかな悪性所見は認められなかった。尚、術後経過良好で患者は10日目に退院、後腸閉塞の再発は認められていない。
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