発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009234150
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78歳男。患者は上腹部痛を主訴とし、救急搬送された。血液・生化学検査では異常はなく、X線でも明らかなニボーは認めず、無ガスの状態であった。更に入院時のCTでは一部小腸の軽度拡張を認めるのみで、腹水は認めなかった。しかし、入院5時間後、WBCは軽度の上昇を認め、アシドーシスの状態となっていた。CTでは小腸の拡張像が増悪し、腸間膜の集簇像と腹水の著明な増加が認められた。内ヘルニアによる絞扼性イレウス疑い、緊急手術を施行したところ、腹腔内にやや血性の腹水と暗赤色の空腸が認められた。そして大網の一部は横行結腸間膜と癒着して索状物を形成しており、ここに小腸が嵌頓して絞扼された形となっていた。そこで、腸管は鬱血し暗赤色を呈していたが、明らかな壊死には陥ってないことから索状物を切離して絞扼を解除した結果、色調は回復していき、蠕動も十分確認できた。以後、腸切除は行わず、手術を終了としたが、経過は良好で、患者は術後10日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009