発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010313475
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
74歳男性。患者は心窩部痛で近医にて内視鏡上胃腫瘍を指摘され、著者らの施設へ紹介となった。入院時、検査ではC型肝炎陽性以外に異常は認められなかったものの、上部内視鏡では胃体中部大彎側に壁硬化、不整像がみられた。また、胃内視鏡では同部に低い周堤を伴う潰瘍性病変が認められ、生検では腺管構造がなく未分化癌、間質細胞の反応性異型が示唆された。一方、CTでは胃小彎側と脾動脈幹リンパ節に軽度腫大がみられた。以上より、本症例は胃悪性腫瘍が疑われ、手術をが行なわれることとなった。術中所見では胃体中部大彎後壁側に漿膜浸潤を伴う鶏卵大の腫瘤が触知され、胃全摘脾合併切除術による切除標本では胃体部大彎後壁側に7×6cm大の平滑で低い周堤を伴う潰瘍性病変が認められた。更に病理所見では異型の強い腫瘍細胞が無構造、充実性に浸潤・増殖し、各種免疫染色はすべて陰性であった。患者は未分化癌、pT3(SE)、pN0、fStage IIと診断され、術後は膵液漏による腹腔内膿瘍を併発したが保存的に軽快し、第36病日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010