発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014230538
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80歳男。食欲不振、体重減少を自覚し、上部消化管内視鏡検査で食道浸潤が疑われる胃噴門部の1型腫瘍を指摘された。生検の結果、低分化型腺癌と診断した。遠隔転移のない食道胃接合部癌と診断し、経裂孔アプローチでの下部食道・胃全摘術、D2+食道裂孔リンパ節郭清を施行した。術後24日目に自宅退院した。術後5ヵ月目に腰背部痛が出現し、腹部CTで大動脈周囲に内部が低吸収を示す多数のリンパ節の腫大を認め、多発リンパ節転移を疑った。また、Virchow転移も認めた。絨毛癌再発と診断しS-1内服を開始したがPSの低下が著しく、継続は困難であった。疼痛コントロール目的のオピオイドを開始し、緩和ケアへ移行した。腹部超音波、胸部X線像上は、肺転移や肝転移の断見はなかったが、全身状態は急速に悪化し術後8ヵ月目に死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2014