発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015167449
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64歳男性。わずかに圧痛のある腫瘤が肛門周囲の皮下に出現したため受診となった。所見では骨盤部CTで肛門の右側から背側において内部に線状の高濃度を認める43×27mm大の腫瘤が認められ、血管の石灰化あるいは異物が疑われた。また、骨盤部MRIでは肛門右側の皮下に43×42×31mm大の腫瘤があり、T2強調像で増強効果がみられたが、内部は低濃度で肉芽腫や膿瘍が疑われた。一方、超音波検査では低エコーの腫瘤で内部に線状の高エコーがあるも、後方エコーは減弱しており、低エコー部の生検による病理診断は肉芽腫であった。以上、これらの所見を踏まえて手術が行われることとなったが、待機中に腫瘤は増大し、疼痛の増強と38℃台の発熱が出現、更に腫瘤は膿瘍化して自壊し排膿が認められるようになったため緊急入院となった。以後、腰椎麻酔下に腫瘤の切開排膿術を施行した結果、内容物は膿というより柔らかい肉芽組織で、1.5cm大の魚骨が発見された。魚骨穿通による肛門周囲膿瘍と考え、これを摘出したところ、病理組織診断はgranulation tissue fibrosisで、細菌培養ではStaphylococcus intermediusが検出された。尚、患者は術後、経過良好で第9病日目に退院となった。
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