発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014298178
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79歳男。黒色便、貧血を主訴とした。血液透析患者であり、主訴にて近医を受診し、上部消化管内視鏡で十二指腸乳頭部に腫瘍を認めたため、紹介受診した。腹部CTでは胆道は肝内胆管から胆嚢、下部胆管まで拡張し、主膵管は尾部から頭部にかけて拡張しており、膵頭部背側に広範な辺縁不整像を認めた。上部消化管内視鏡では十二指腸乳頭に径2cm大の潰瘍腫瘤型の不整隆起性病変を認め、生検結果は中分化型腺癌であり、内視鏡的逆行性膵胆管造影では上部胆管から下部胆管にかけて拡張し、乳頭部の急峻な狭窄像を認めた。十二指腸乳頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術、D1郭清とChild変法による再建を行い、術中は愛護的な手術操作、出血減量、手術時間短縮に努めた結果、術後は合併症なく良好に経過し、通常の血液透析を維持できたが、術後8ヵ月に局所再発死した。
©Nankodo Co., Ltd., 2014