発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006186505
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67歳男.冷汗,腹痛および嘔吐を主訴とした.1年前より多量飲酒を契機に急性膵炎を繰り返していた.採血・腹部CTおよびMRCP所見より急性膵炎再発と診断したが,腹部CTで下部胆管に淡い不明瞭な像を認めたため,内視鏡的逆行性膵胆管造影を施行した.胆管造影で下部胆管に一側が胆管壁に接する8×6mm大の不整な陰影欠損を認め,Oddi筋の収縮と胆管内圧の上昇が合わさると陰影欠損が乳頭部内にわずかに下方偏位する像も認めた.乳頭部内へ鉗子を挿入しての生検では腫瘍の診断であった.悪性の確定診断は得られなかったが,下部胆管の隆起性病変が頻回の急性膵炎を起こす原因と考えられたため,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的にはm,panc0,du0,ly0,v0,n0であり,十二指腸乳頭部の粘膜癌の診断であった
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