発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007243124
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50歳男性。全身倦怠感を主訴とした。約4年前に上部消化管内視鏡所見で十二指腸乳頭部に非露出腫瘤型腫瘍を認め、生検にて高分化型腺癌の診断を受けたが、アルコール性肝硬変による肝機能不良(Child C-B)と患者から手術への同意が得られなかったことを原因として、経過観察を継続中であった。今回肝機能回復と患者より手術への同意を得、生検および画像診断、臨床経過から露出腫瘤型十二指腸乳頭部癌、胆管浸潤陽性の診断のもとに開腹し、膵頭十二指腸切除術を施行した。リンパ節転移や遠隔転移はみられず、病理組織所見で腫瘍は十二指腸乳頭部の粘膜内に限局しており、中等度から高度の異型を示す高分化型管状腺癌を認めた。胆管粘膜への浸潤はなかった。免疫染色ではp53陰性、Ki-67 labeling indexは32.8%であった。深達度m、du0、n0、em0、stage Iであった。術後経過は良好で第24病日に退院し、術後2年6ヵ月経過現在、無再発にて経過観察中である。乳頭部の進展度診断は困難で、根治性を求める為PDが選択されることが多いが、診断能の向上により、縮小手術の適応となる症例が増加すると思われた。
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