発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010284104
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75歳男性。患者は眼球および皮膚の黄染を主訴に近医を受診、閉塞性黄疸を指摘され、著者らの施設へ紹介となった。入院時、閉塞性黄疸、肝機能障害、胆道系酵素の上昇がみられ。上部内視鏡ではVater乳頭部に潰瘍を伴う腫瘤が認められた。また、生検結果は高分化腺癌で、CT血管造影では総肝動脈は上腸間膜動脈から分岐していた。以上より、本症例は総肝動脈走行異常を伴う十二指腸乳頭部癌と診断され、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行したところ、手術所見では総肝動脈は術前のCT画像と同じく上腸間膜動脈から分岐し、上腸間膜静脈の背側を走行した後、膵頭部下縁から膵腹側を走行し、肝門部へ到達していた。そのため手術は総肝動脈を膵実質から剥離し、膵切離した後に膵頭部を総肝動脈の背をくぐらせて摘出した。その結果、病理組織学的にfStage IIIの十二指腸乳頭部癌で、患者は術後10日目には軽快退院となり、外来で補助化学療法を施行、目下、術後14ヵ月経過で無再発生存中である。
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