発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014226271
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30歳代女性。下腹部痛と嘔気、嘔吐を認め近医を受診、腹部全体には膨満がみられ、腸閉塞を疑い、著者らの施設へ紹介となった。入院後、イレウスチューブを挿入し禁食として保存的に加療が行われたが、イレウスチューブ挿入時の透視ではチューブ先端が狭窄起点付近まで到達せず、原因病変の描出は困難であった。更にイレウスチューブからは1500~2000ml/日程度の排液がみられたが、腹部症状の明らかな改善はなく経過、第6病日目の腹部CTでも回盲部の閉塞部位に改善はなく、第7病日目に開腹手術となった。術中所見では回腸末端には腫瘤性病変が認められたほか、口側腸管の浮腫と拡張が認められた。このことからこれが腸閉塞の原因病変と考え、回盲部切除術を施行した。その結果、切除標本の病理組織学的所見では回腸・大腸の粘膜固有層から漿膜にかけて散在性に増殖する腺管が認められた。また、腺管は異型性に乏しく子宮内膜に類似しており、腺管周囲には子宮内膜間質成分を伴っており、子宮内膜症の所見であった。尚、術後経過は良好で、患者は第11病日目に退院、退院後は婦人科にてdienogest内服による加療が開始され、症状の再燃なく経過観察中である。
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