発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014226270
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55歳女性。検診のマンモグラフィ後の精査目的で受診、超音波検査では左C領域に8.0×7.6×7.4mm大の腫瘤が認められ、穿刺吸引細胞診により陽性と判明、左乳癌と診断された。約1ヵ月後、乳癌の手術目的での入院となったが、当日夕方に39℃の発熱と右下腹部圧痛ほか、背部鈍痛、叩打痛を認め、尿路感染なども疑い、抗菌薬の投与が行われた。投与後、熱型は改善し外来での経過観察が行われていたが、退院後も腹部不快感と炎症反応が持続、腹部・骨盤造影CTにて腸間膜リンパ節炎ならびに膿瘍と診断され、再入院となった。腹部造影CTでは内部不整の造影効果と周囲に多発結節影を伴う4.6×4.0×3.7cm大の腫瘤が認められた。そこで、ニューキノロン系抗菌薬に加え、doripenemの投与を行なったところ、腹部所見の改善傾向がみられ、6日後には炎症反応も正常化、第15病日に退院となった。以後、治療開始から約3週間経過で乳癌に対して乳房温存術+腋窩リンパ節郭清術を施行することになった。病理組織診断は浸潤性乳管癌(乳頭腺管癌)で、術後は内分泌療法と残存乳房に対する放射線治療を施行した。尚、腸間膜リンパ節膿瘍の診断から4ヵ月目の腹部造影CTでは腸間膜リンパ節腫大や膿瘍は消失、乳癌手術から6ヵ月経過現在、腹部症状の再燃は認められていない。
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