発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014226272
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62歳男性。60歳時に脳梗塞および肺動静脈奇形で塞栓術が施行されたが、経過観察のCTにて腹部皮下腫瘤を指摘され、増大傾向を認めたため、著者らの施設へ紹介となった。受診時、正中創直下に4cm大の表面平滑で弾性硬の皮下腫瘤が触知され、CTでは臍上部正中皮下に3×4cm大の充実性、内部均一な軟部組織濃度を示す表面平滑な類円形腫瘤が認められた。以上、これらの所見を踏まえて、鑑別診断でデスモイド腫瘍やSchloffer腫瘤が考えられ、手術が行われることとなった。術中所見では臍上部・正中切開創にそって腫瘤直上5cmの皮膚切開を置き、皮下を剥離するとすぐに腫瘍が触知された。そこで、腫瘤を露出しないように脂肪をつけるかたちで剥離したところ、背側は右腹直筋に固着しており、筋膜を合併切除した。その結果、摘出標本の病理組織学的所見では、異型に乏しい線維芽細胞様の紡錘形細胞が豊富な膠原線維を背景に錯綜性に疎に増生する像がみられ、腹壁デスモイド腫瘍であった。尚、患者は術後7日目に退院となり、1年経過現在、再発所見は認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2014