発行日 2012年12月1日
Published Date 2012/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013101692
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23歳男。下腹部痛で受診した。若年かつ既往歴がないことより虫垂炎を疑ったが、CT上は明らかな虫垂腫大や膿瘍形成も認めず、腸炎の疑いで保存的に経過観察の方針とした。腹痛増強で再診し、再診時に腹部単純X線像でニボー像があり、イレウスの診断で入院した。イレウス管挿入後もイレウス解除はできなかった。腹部単純CT所見では、小腸の拡張、イレウスを呈し、糞石、回腸末端の壁肥厚を認めたが、糞石は回腸内のようにもみえ、虫垂は同定できなかった。保存的治療を試みたが、改善を得られなかった。大腸内視鏡検査では、粘膜病変がなく、Crohn病よりもむしろ虫垂炎などの可能性が強いと思われ、開腹手術を施行した。病理学的所見では、虫垂根部の盲腸から回腸にかけて炎症が波及し、回腸の漿膜下層に壁内膿瘍を形成し、粘膜病変はなく、Crohn病などを示唆する病変も認めなかった。術後経過は良好で、術後20日目に退院した。
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