発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014038107
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68歳女性。上部消化管バリウム造影検査後、翌日バリウム便の排出が少なく腹痛が出現した。他院で経過観察目的で入院となったが、腹痛が増悪し、また腹膜刺激症状が出現したため、著者らの施設へ紹介となった。所見では腹部骨盤部CTでS状結腸内に多量のバリウム残存がみられ、一部後腹膜への漏出が疑われた。そのためバリウムによるS状結腸穿孔を疑い、手術施行となった。術中所見では黒茶色の腹水をダグラス窩に認め、S状結腸を後腹膜より授動していくと白色調の便が流出した。更にS状結腸後腹膜面には穿孔部位が認められたためS状結腸切除術が施行された。その結果、バリウムの広がりは比較的限定的であり、下行結腸と直腸を端側器械吻合した。一方、切除標本の病理組織学的所見ではS状結腸の腸間膜側に16×8mm大の穿孔があり、口側約15cmにわたる縦走潰瘍が認められたが、憩室・腫瘍などの器質的疾患はなかった。尚、術後第11病日目の腹部骨盤CTではダグラス窩にバリウムの残存が認められたが、患者は第16病日目に退院となった。
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