発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014042097
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症例は58歳男性で、51歳時に右鼠径ヘルニア術の既往があった。集団検診での胃透視検査11日後に下腹部痛が出現して受診した。右下腹部に限局した圧痛、反跳痛を認め、検査では軽度の炎症反応を認めるのみであった。X線で右側腹部の上行結腸憩室内2ヶ所と右下腹部の虫垂内にbarium貯留像を認めた。CTでは上行結腸憩室内と虫垂内に遺残したbarium像を認め、虫垂末梢側腫大を認めた。虫垂内barium貯留による急性虫垂炎と診断し開腹手術を行った。術中先端が壊疽性変化を示した約9cm長の虫垂を認め、逆行性虫垂切除術を行った。摘出虫垂は8.5cm長、先端近傍に1cm大の虫垂結石の嵌頓を認め、その末梢側の虫垂は腫大し、一部粘膜面が暗赤色の壊疽性変化を認めた。病理所見で悪性所見はなく、急性虫垂炎の診断であった。虫垂結石の一部にbarium類似の吸光度領域を認め、barium結石と判断した。術後10日目に退院し、術後2年経過で炎症の再燃は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2013