発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014038106
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62歳男性。9年前にS状結腸同時重複癌にてS状結腸切除術の既往があった。今回、術後経過観察中に肉眼的血尿を認め、泌尿器科へ紹介となり、膀胱鏡検査で膀胱右後壁に30mm大の広基性非乳頭状の腫瘍が認められた。膀胱腫瘍および膀胱タンポナーデの診断にて経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)を施行した結果、病理検査では腺癌の診断であったが、腫瘍の主座が正中から離れているため尿膜管癌は否定的であった。そこで、大腸癌播種性再発の疑いで外科へ紹介となった。造影CTでは膀胱頂部やや右に造影効果を伴う33×29mmの腫瘤が認められ、また小腸との境界が不鮮明で小腸への浸潤も疑われた。以後、膀胱部分切除術を施行したところ、切除標本の腫瘍は55×45mm大で、更にTUR-BT後でもあることから境界明瞭な2型腫瘍の形態を呈し、病理組織学的に中分化型腺癌の膀胱転移と診断された。尚、術後は3ヵ月目に膀胱右後壁・前立腺尿道部に再発が認められたがTUR-BTの施行で現在も無再発生存中である。
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