発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013191403
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61歳女。左下腹部痛を主訴とした。腹部単純X線で左上腹部に小腸ガスを認めたが、異物様陰影やfree airは認めなかった。造影CTでS状結腸と子宮の間に31×24mm大の限局した膿瘍形成を認め、内部にガス像を伴っていた。近傍のS状結腸には憩室が散在していたが、明らかな異物様陰影はなかった。S状結腸憩室穿孔による腹腔内膿瘍と診断して緊急開腹術を施行し、S状結腸と子宮の間に限局した膿瘍を認め、膿瘍壁から遊離腹腔側に爪楊枝が突出していた。なお、爪楊枝は既にS状結腸壁を貫通している状態であった。爪楊枝の誤飲によるS状結腸穿孔および腹腔内膿瘍と診断し、膿瘍と一塊にS状結腸を部分切除吻合して腹腔洗浄ドレナージを行った。摘出したS状結腸には複数の憩室を認めたが、爪楊枝の貫通した部位は明らかではなかった。術後、患者に爪楊枝の誤飲の有無を確認したが、その自覚はなかった。術後経過は良好であった。
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