発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005007519
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症例1:66歳女.嘔吐と下腹部痛を主訴とした.症例2:73歳女.下腹部痛を主訴とした.両症例とも,腹部CTで後腹膜腔のairと,壁を有しないair densityを呈する腫瘤像を骨盤腔内の腸管外と思われる部位に認め,下部消化管穿孔による汎発性腹膜炎を疑い緊急手術を施行した.開腹すると少量の混濁した腹水と,S状結腸間膜内の糞便貯留を認め,S状結腸憩室の腸間膜内への穿通と判断し,Hartmann手術を施行した.症例1は病理所見で壁全層にわたり高度の好中球浸潤を示し,漿膜下層ではabscess様を呈していた.腸間膜内への穿通を伴っており,憩室の穿通として矛盾しない所見であった.術後経過は良好で,第44病日に退院となり,術後4ヵ月に人工肛門閉鎖術を施行した.症例2は病理所見で粘膜筋板を有する粘膜が,腸周囲脂肪組織内にヘルニア状に突出し,一部腸間膜へ穿通していた.憩室の壁や周囲脂肪織に好中球が浸潤していた.術後経過は良好で,第43病日に退院となった
©Nankodo Co., Ltd., 2004